1. 4 全体に乙ロ甲ロハは合っていて他の音が外れている場合(孔を個々に調律)
 5.4.1 調律の原則と注意事項
  @音程・共鳴は筒と孔を含む全体の空洞体積・孔の位置・孔の面積のバランスで成
      立します。全ての孔を全体的に少しずつ調節しバランスを見ながら調律するよ
   うにします。1孔ずつ調律することは避けて下さい。
  A孔を切り欠く場合は、切出しナイフまたはビット等を使用します。
  B孔を埋める場合、孔が製造時の調律や塗装で変形していたりその後使用者が加工
   している場合がありますので、孔の形状を出来るだけ整えてください。
  C埋める材料は竹が望ましく竹を孔の大きさ・形状、竹の先を筒の内部の形状に合
   わせ加工します。孔が大きく適当な竹材が無い場合は固い木材を使用します。
   竹の先端は予め瞬間接着剤を染み込ませておきます。
  Dどこまでどのように差し込めば良いかをマークングし瞬間接着剤で注意深くか
   つ素早く接着します。
  E仕上げとして孔の表面をナイフできれい削り整えます。

 5.4.2 夫々の孔の音程を高くする(下図左)
  (1)音程がそれほど違いが無く低い場合
   @音程がそれほど低く無く孔の大きさを変えたくない場合は歌口方向に孔を斜め
    に切り欠き筒内の孔の位置を歌口方向に近くし音程を高くします。(下図左)
   A孔が製造時の調律で既に斜めに切り欠かれている場合は孔の表面部を歌口方向
    に削り取ってください。結果孔が楕円形に大きくなります。(下図中)
   B切り欠きが大きくなると見栄え・押さえ・空洞体積の問題が生じ、逆に音程が
    低くなる場合があります。また斜めの切り欠きは音の立ち上がりが悪く音の切
    れを悪くします。
   C孔が楕円形に大きくなり過ぎる場合は、空洞体積も大きくなるので反対方向に
    孔を竹材で塞ぐようにします。(下図右)
  (2)音程が相当外れている場合
   @音が相当低く上記対応でむずかしい場合は一旦孔を埋めます。
   A孔を埋めるために孔を綺麗に整形し、竹材又は固い木で筒の内面に相当する部
    分を塗装・または接着剤で塗装し埋めボンドで接着します。その際筒の内側と
    凹凸が無いよう注意し埋め込みます。
   B元の孔より歌口に近い所に小さ目の孔を空け直し、微細な調律を行います。  
  
 
 
           
 5.4.4 夫々の孔の音程を低くする
   音程を低くするには孔の位置を歌口から遠ざけるか孔を小さくするかで行います。
  (1)歌口に近い方を斜めに埋め表面は変えない方法です(方法1)
    @孔の面積を小さくするため歌口に近い方に竹材を埋め接着後切断します。
    A側面から見て斜めになるように切り欠きます。
    B孔の筒内の面積を少しずつ小さくし音程を合わせます。
    B孔の表面は今までの孔の大きさになるよう斜めに切り欠き、表面的には加工し
     たように見せずきれいに仕上げます。
  (2)孔全体を歌口から遠ざける方法です。(方法2)
    @孔を小さくするため竹材を埋めます。
    A埋めた竹材を垂直に全体として丸い孔になるように整形します。
    B音程を確認しながら少しずつ切り欠き場合によっては反対側を垂直に表面が丸
     くなるように切り欠きます。
    C音程が大きく外れている場合は、孔を埋め再度孔を空け直しなおします。

  











           
c40b0060.jpg c40b0060.jpg
5.4.3 高音部のヒの音程がどうしても低い場合の対処(ヒの五が低い場合にも適用)
 @ヒの音程が(4孔)上記方法でも音程が高くならない、調律の結果尺八全体の空洞体
   積が大きくなり高音部の音程が低くなる場合があります。
 @ハの音程は5孔空けたヒの五と合致しなければてけません。
  この音程を決めるのが五孔の位置で高音部の「キモ」とも言えます。
 A五孔の位置が歌口から離れた遠い位置にある場合高音部の音程に影響し低くなりま
  す。また、ハの三、ハの四にも影響し低くなります。
 Bこれを矯正するには五孔の位置を歌口に近い方に移動することで共鳴周波数を高め
  高音部全体の音程を高めます。この作業は(上図右)と似ていますが大きめに埋め注
  意深く音程を確認しながら歌口に近い方を切り欠き、きれいな円形に仕上げて行き
  ます。(上図右)
  C1孔以外を全て開放したヒの五の音程がハと同じになるまで近づけていきます。
  結果として高音部も高くなり音もキレイになります。
      
7孔
作成
割れ
修理
調律
方法
道具
myweb2007001.jpg